2023.7.30追記:保護されたイヌワシ幼鳥は7/30亡くなったそうです。以下管理人様のコメントです(奥様は獣医とのこと)。
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お疲れさまです。
今年の4月10日に紹介した伊吹山のイヌワシライブ配信の件、覚えていらっしゃいますか??(過去記事:伊吹山のイヌワシ子育て生中継)
私は配信の始まった4月1日から毎日、朝昼晩とライブ配信を見て、イヌワシの子育ての様子をモニター越しに観察していました。
当初から親が持ってくるエサが少なく、順調とは言えなかった子育てでしたが、孵化してから108日目の今日、人の手により保護されました。
時系列で簡単に記載すると、
- 親鳥のエサの配達が少ない
- エサ不足による発育不良
- 巣立ち予定の7月上旬を過ぎても巣立つ気配なし、エサ配達少ない
- 7月16日可食部が多めに残ったノウサギ配達
- 7月23日?可食部の少ないトビ配達
- 7月26日衰弱のため、管理人さんより人的介入の方針出される
- 7月27日巣のある崖の上からロープでシカ肉300g(木に阻まれ予定より少ない)を降ろす
- 7月28日(今日)衰弱激しく目をつむり昼頃には前日に食べたシカ肉と思われるものを吐き出す、よろける、力ない。
そして、明日には関係者でレスキューという予定だった今日13:20頃、幼鳥は巣の端に何かを見つけたような様子で飛び出し、そのまま前のめりになり(多分とどまる力なく?)巣から落下しました。
予想外のできごとに慌てた管理人さんと、チャット欄に登場していたクライマーさんが現地に駆け付け17:30頃、幼鳥確保。
という展開でした。
▼シカ肉を降ろす前の管理人さんのコメント。(ヒナは当初2羽が孵化し、もう1羽と区別するためにニーナと名付けられました(卵が2/27に生まれたため))
2023/07/26 EagletOffice
ここ数日の行動からニーナの両親は子育てを終了した可能性が高いと推察しています。その場合、ニーナには生きる術はもうありません。巣に餌を投入してさらに数日間、両親の行動を観察した上で次の対応を考えたいと思います。ニーナはかなり衰弱しており、すでに手遅れである可能性もありますが、西日本のイヌワシの遺伝子を引き継ぐ個体として飼育下個体群への参入を視野に入れて介入することにしました。
イーグレットオフィス(管理人)さんの公式サイトに詳しい思いが書かれているので、是非ご覧ください。
\今朝のニーナ/
保護されたニーナは経口補水液を自力で何回も飲み、どうにか立ち上がってよちよち歩いたそうです。体重は1.36kgとのこと。
調べたら、まずイヌワシの巣立ち日数は70~96日。ニーナは7月28日現在、生後108日齢ですが、最後は巣立つどころか衰弱していく一方でした。
そしてイヌワシの体重は成鳥で3~5キロとの事。筋肉量も違うことから成鳥と幼鳥を一概に比較はできませんが、1.36kgしかなかったニーナはやっぱり限界だったんだと思います。
4月から親鳥が懸命に狩りをしニーナにエサを運んで来るのを画面越しに見ていて、エサが届く頻度は少なかったですが、子育てに多くのリソースを費やしているのが分かりました。親は必死でした。でも、ニーナは巣立てなかった。
YouTubeのチャット欄では、常にエサ不足との戦いでかわいそうだから保護してという声も多かったですが、私はやっぱり野生動物は野生下で生きて欲しかった。管理人さんと同じで、出来れば最後の最後まで、やっぱりちゃんと巣立って欲しいと願っていました。
でも今日がその最後の最後の日で、ニーナは巣立てずに保護という形になりました。
まずもって、どんな形であれ1羽のイヌワシの命が繋がったことは純粋に嬉しく、関係者の方々に心からの敬意を表します。
その上で、伊吹山の空をきっと飛んでくれると信じていたニーナが巣立てなかったのはなぜなのか??私たちはそれを重く受け止める必要があるのではとすごく思いました。
伊吹山のニーナに起こっていたことは、たまたま私たちがライブカメラで知ることが出来ただけで、全国のどこででも人知れず起こっていることです。そして自然のことだから、と言ってしまうにはあまりにも環境に対して人間の与えてきたインパクトが大きいのでは?と思えてなりません。生き物のいない黄昏の世界で、人は生きていくことは出来ないんです。私も、みんなも、未来を生きる姪っ子のあかりも。
やせ細ったニーナが、あの可愛い目で、色んな事を訴えかけて来るような気がする、そんな夜です。
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ニーナの成長記録をスクショで少し残してあるので、掲載許可をいただけたらここでご紹介したいな~と思っています。
以上です。
イヌワシの繁殖期の餌不足を補うため、外来生物として駆除の対象になっている捕獲されたアライグマを餌場に放獣する案どうかと米原市などに提案しています。関係者の中には殺処分するのを躊躇う人も多いようですが一つの解決策になるのではと思います。他の繁殖地に比べて伊吹山は人がアクセスしやすく、比較的労力を使わずに定期的に放獣できるので実験場として最適ではないでしょうか。小型発信機を装着しておけば放獣したアライグマの追跡調査も可能です。近縁種のタヌキもイヌワシの餌になることからアライグマも餌になるはずだと思います。唯一の懸念材料はアライグマは夜行性と言われていますが、市街地では昼間でも見かけるので数が多ければ特に問題にはならいでしょう。
貴重な情報をありがとうございました。最近、1日に数度見ておりましたが、イヌワシについては全く素人なので、何時飛び立つか楽しみにしていました。残念至極です。
ニーナが今後すこやかに成長してほしいと祈っています。