五十嵐川遊水地について

さて、前回のコハクチョウまだいたからの続きです。

その前にお伝えしたいのですが、野鳥の観察場所をネット上で公開することは鳥にとって良くない事が多い昨今なので、今回も書こうかどうか迷いましたが、生息環境が生き物にとってどれだけ大事なのかをお伝えしたい気持ちが大きく書くことにしました。

五十嵐川遊水地に関しては普通に三条市の情報で場所も分かりますし、もうこれからの時代隠しても隠し切れない部分もあるので、紹介しますが、くれぐれもマナーを守り、鳥に圧をかけない観察(特に撮影)を切に、心よりお願いいたします!

先日も他の場所ですが、カメラマンの非道な様子を聞いてしまったので、それが心配で…。

本題に入ります。

五十嵐川遊水地について

五十嵐川遊水地は2011年に起こった水害の後に整備された水害対策の遊水地です。

完成までの流れは以下の通り(わたし調べ)

  1. 2004年かの有名な7.13水害が発生。五十嵐川の堤防が決壊し三条の街が浸水。ニュースで街が冠水している様子を見た方も多いのではないでしょうか?
  2. 7.13水害からの復旧工事が完了した2011年(1月に河川改修事業が完了)、7月にふたたび豪雨に見舞われる(7.29水害)。この時の雨量は7.13水害の2倍だったといわれており、主に下田地区で破堤。その災害復旧事業として、河道の改修・笠堀ダムの嵩上げとともに遊水地の新設計画が立てられました。
  3. そして着工から5年後の2018年、無事に約40ha、総貯水量180万立方メートルの遊水地が完成。

完成直後の五十嵐川遊水地(地域振興局治水課に掲載許可もらってあります。元データはこちら(PDF)

完成したばかりの遊水地は草やヨシなどもなく人工的ですが、やっぱり自然はすごい!そこからめきめきと植物が生え、生き物が現れ、わずか数年で鳥たちが飛来するようになりました。

私の記録だと2020年の2月には五十嵐川遊水地にハクチョウなどを見に行っているので、少なくとも完成からわずか2年ほどで今の環境になったと思われます。

\2023年12月/

Googleストリートビューでは遊水地ができる前の農地の様子も見ることが出来ます。現在→過去の様子を見比べてみてください^^おもしろいです。

\2023年9月/

↑ サギがいっぱい写っているので、クリックして道路を進んでみてください笑

\2013年8月/

↑ ↑ 背景の山の位置変わっていないのがポイントです。

環境次第で生き物はふえる

遊水地ができる前までは当然ですがここにコハクチョウは来なくて、どこか他の場所をねぐらにしていた訳です。それが遊水地が出来てからは、ここは使えるとばかりに鳥たちが利用し始めました。

その辺りは鳥に限らずですが、生き物は基本的に使えるものは何でも使ってたくましく生きているのだなぁと感じるところですし、うまく環境に適応して、いかに命をつなぐか、子孫を残すか、で生きているのだなぁと思います。仮にそれが本来の生息適地じゃない場所でも、本当にたくましく。

そして、人の歴史は災害との戦いの歴史でもあり、河川改修に関しても多くの水害を乗り越えて今があるので、人の暮らしを守る治水事業には感謝しかありませんが、一方で土をコンクリートで固めることで生物多様性を低下させているのも事実です。

それが時代が進み、人類は生物多様性を保全する「30 by 30」(2021・G7サミット)などの世界目標を立てられるようになりました。

30 by 30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。

今までは、人間の生活にいかに役立つかが物事の判断基準だった訳ですが、これからは人の暮らしを維持しつつ、いかに自然を守っていくかにシフトしていく時代になります。なので、最終的に海に流れ込むあらゆる川を3面コンクリート張りにしてはいけないですし、技術が進歩して代替技術もありますので、どんどん自然に優しい工事に変えていって欲しいなと思っています。

みんな、鳥や魚や虫や草や花や、多くの生き物がいた方が、いいじゃないですか~。そして川や干潟などの湿地環境を守ることで、そこからつながる海の生き物を守ることが出来るのです。アサリや海苔が採れないニュースも、私たちの意識ひとつで変えることが出来る可能性を秘めています。自然はみんなつながっている!

・・・何の話をしていたか忘れました。

五十嵐川遊水地は自然との両立を考えて作られた訳ではないと思いますが、結果的に多くの鳥が飛来する環境になったので、環境さえあれば生き物は増えるということが証明されたように思います。

仮に過去の開発で失われた環境があったとしても、場が再生すれば、生き物たちは帰ってくるということが分かりますね。なので、まだまだ諦めないで、皆さんどうか頑張っていきましょう!と自分に言い聞かせる。

五十嵐川遊水地は、春夏はバンやカイツブリなどの水鳥たちが繁殖し子育てをしていますし、秋冬にはカモやハクチョウが通過や越冬に利用します。ヨシ原を好むオオヨシキリやホオアカなどの小鳥も来ますし、サギ類やウは年中魚とり、オオタカやノスリ、チョウゲンボウなどの猛禽類もよく現れます。

\カルガモ親子/

災害対策でできた池なのに、こんなにたくさんの鳥たち、すごいと思いませんか??

これからも温かく見守っていきたいと思います^^

少し長くなりましたが、以上です。読んでいただきありがとうございました。

 

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